Glimpses through the nettles

イラクサの小道の向こう―英国、花とくらす小さな村

昨日、日本から
やわらかなリネンのような手触りの、
うつくしい本が届きました。

本のタイトルは
『イラクサの小道の向こう―英国、花とくらす小さな村』
東京・吉祥寺で花店ジェンテを営む
フローリストの並木容子さんが
イギリス、コツウオルズを旅したときのお話を
綴ったエッセイです。

並木さんのお人柄通りの
誠実であたたかな文章は、
コツウオルズの旅のことを語りつつ、
読むひとに、
それぞれが
今いる場所について、
見つめなおすきっかけを
与えてくれるような気がします。

。。。さて、 実はこの本は、
前作『英国、花からはじまる旅』
同じ時期に取材をしたもの。

わたし自身は、コーディネイトという形で
本づくりのお手伝いをさせていただいたのですが、
著者の並木さんがご多忙のこともあり、
並木さんいわく「約3年越し」で
できあがり、1月末、本屋さんに
並ぶことになりました。
文章を読んでいると、取材のときのことが
まるでつい昨日のことのように
フラッシュバックしてきます。

「本のための取材」といいながら、
お散歩したり、花を摘んだり、
ファーマーズ・マーケットにでかけて
さんざんいろんなストールの人に
話しかけておしゃべりをして、
マーケットの脇の小さな公園のベンチで
買ったばかりのパンとチーズとバラの花びらのジャムで
ランチをしたり…と、
一般的にイメージする「取材」とは
かけ離れた行動をしていた
並木さんとわれわれ取材チーム。

がちがちにスケジュールを組み立てた取材ではなく
ほんとうの旅をするようにして、
その場での「であい」を
本にしたい…という考えは、
でも、ほんとうにその「であい」があるのかどうか…
という不安と背中あわせではあったものの、
結局は、たくさんの、あたたかな「人」や「場所」
そしてもちろん「花」や「自然」とのであいがあり
(もちろん、それを引き寄せたのは
並木さんの、花を、イギリスを、人をたいせつに
思う気持ちだったと思うのですが)
こんなに美しい本になったのです。

初夏のコツウオルズの草いきれ、
日なたのにおいまでも
写し取ったかのような
高橋京子さんの写真もとてもとても
印象的(個人的には76ページに掲載されている
ミル・デーンに宿泊なさっていた
日本人ご夫妻のお子さん、「しんちゃん」の
写真がお気に入りです。。)で、
きっと、何度でも手にとって
読み返し、見返してみたくなる本だと
思います。

旅のガイド本ではないけれど、
あなたを
日々の暮らしを見つめなおす旅へと
いざなってくれる本…。
そんな気がします。

*『イラクサの小道の向こう―英国、花とくらす小さな村』
著者:並木容子
出版社:アノニマ・スタジオ
定価:1600円(税別)

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コメント

  1. Kazu より:

    Time flies, and it seems such a long time ago now. Ano toki ga koko ni modotte kuru no desu ne. If any kind of time-machine can work, this is the one: writing leaps out the time. Atataki DEAI wo todokete kureta Mami-san ni KANSHA.

  2. mami より:

    Kazuさん、コメントありがとうございます。Kazuさんに出会ったのは、この本の取材時ではなく、その前の雑誌の取材のときでしたが、その取材の打ち上げの場で、この本の構想が出来上がったことを思えば、やはり、すべての出来事はつながっているとも言えるような気がします。しかし、しかし…本当にTime fliesですよね。Kazuさんとの出会いはわたしにとっても、とても幸福な出会いでした。こうした素敵な出会いを得られることこそが、ジャーナリストという仕事の最もすばらしい部分だと思います。わたしこそ、あたたかい出会いに感謝です♪

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