真夏の移動遊園地(Funfair)

ロンドンに住みはじめて少したったある夏の日。

ホームステイをしていた家の近くの公園に
突如、遊園地が登場しました。

前日、なんだかたくさんトラックが停まっているな〜、とは
思っていたのですが、
翌日になったら
公園が、回転木馬のある遊園地になっていたのです。

日本では、子どもの頃、
木下サーカスとかキグレサーカスとかが(って、
知っている人、あまりいないかな?)
自分の住んでいる街の近くまでやってきた…ということはあったけれど、
移動遊園地を見たという記憶がなく、
それは、なんとなく、お話の中に出てくるだけのもの、
というイメージでした。

ところがイギリスでは
こうした移動遊園地を、いろんな場所で見かけるのです。

でも、いろいろ見た移動遊園地の中でも
この、ステイ先の近くで初めて見た移動遊園地は
わたしにとって、とても特別なものでした。

というのも、
それは、どこか懐かしい雰囲気を漂わせる
ヴィンテージの乗り物を集めた遊園地なのです。

お目当ては
‘The Jubilee Steam Gallopers’という名前の
回転木馬。

この移動遊園地Carters Steam Fairの創業者である
JohnさんとAnnaさんが
最初に購入し、1977年からこの遊園地の名物として
活躍している乗り物。

1895年に作られたもので、
アメリカの回転木馬が‘Carousel’と呼ばれ、反時計回りなのに対して
こちらはブリティッシュの‘Gallopers’で
時計回りに回転します。
(英国製とアメリカ製では回転木馬にこんな違いがあるって、
ご存知でしたか? わたしはCarters Steam Fairのウエブサイトで
初めて知りました)

何度も改修、彩色をし直しているそうですが、
つくられた当時の人々も
きっとわたしたちと同じように
興奮しながら
笑顔になりながら
これに乗っていたんじゃないかな…と想像するだけで
木馬にまたがりながらにんまりしてしまいました。

ちなみにこの木馬、けっこう回転が早くて
しっかりつかまっていないと、
とんでいっちゃいそうな気になります(笑)。

ほかにも、カーター・ファミリーが集めた
ヴィンテージの乗り物は
どれも古い映画に出てきたようなものばかりで
見ているだけで
なんだかうっとりしてしまうのです。

また、ファミリーの皆さんが住まいにしていらっしゃる車(Living Van)
それぞれ内装も凝ったこだわりのヴィンテージ。
だから、移動遊園地の周りを取り囲むようにこの大きな車たちが
停まっていても、違和感がないのも素敵です。

夏の間のとある週末にだけやってきて、
あっという間にいなくなってしまう遊園地。

それはもしかしたら
公園のベンチでうとうとしている間にみた
白日夢だったのかしら。

*Carters Steam Fair:http://www.visit.carters-steamfair.co.uk

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