ステイシー・ウォードさん(モーニングトン・クレセント東京)インタビュー

by Mami on 7月 1, 2017

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo

イギリスで発行されている在英邦人の方のための
情報誌「ニュース・ダイジェスト」で
イギリスの食についてのコラム
「英国の口福を探して」を連載させていただいて
もう2年になります。

自分でも大好きなコラムで(とはいえ、執筆のときは
いつも悩み苦しんでいるのですが。笑)
執筆の裏話などを
このブログでご紹介したいと思いながら、
リサーチや締め切りにおわれて
なかなかこちらで記事を書けずにいました。

でも今回は、このコラムに関連して
とても素敵な方にインタビューさせていただいたので
皆さんにぜひご紹介したいと思います。

連載を読んでくださっているかたは
覚えていらっしゃるかもしれませんが
「英国の口福を探して」の49回目では
「バッテンバーグ・ケーキ」をご紹介しました。

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo

ピンクとクリーム色の市松模様が可愛いケーキなのですが、
実は、このケーキをロゴにしている
素敵な場所が日本にあるのです。

それが、今回インタビューさせていただいた
ステイシー・ウォードさんが経営する
「モーニングトン・クレセント東京(略称:モンクレ)」です。

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo

イギリスのお菓子作りのレッスンがメインの場所ですが
それ以外にも、オープン・ベーカリーとして
月に2回ほど、不定期でお菓子の販売をしていらっしゃいます。

残念ながら、わたしはまだお伺いしたことはないのですが、
Twitterを通じて、モンクレとステイシーさんのことを知り、
ウェブサイトやSNSの写真を拝見して
いつかぜひステイシーさんの作る
イギリス菓子を食べて見たい! と
憧れているのです。

その夢はまだかなっていませんが
今回は、インタビューという形で
このブログにご登場いただくことができました。

ステイシーさんが
バッテンバーグ・ケーキをロゴに選んだ理由をはじめとして
ステイシーさんとモンクレについて
たくさんのお話を伺っています。

インタビューを読んだら、
きっと皆さんも
ステイシーさんの作るイギリス菓子を
食べたくなると思いますよ!

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1、モンクレさんのマークには
バッテンバーグ・ケーキが使われていますね。
その理由を教えてください。

Stacey:先ずはイギリスのお菓子として「ザ・イギリス」という感じ、
とてもイギリスらしいと思いました。
スコーンやヴィクトリアスポンジほど代表的ではないかもしれませんが、
ロゴにしても、白黒にしても、
分かりやすいのでちょっと面白いと思いました。

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©️Mornington Crescent Tokyo

また、個人的にこのお菓子が大好き^ ^
手作りのバッテンバーグは本物の材料を使いますので
(glucoseシロップ、乳化剤などなし、shorteningではなくバターなど)、
市販のものとかなり違ってとても美味しい。
モンクレで作るものは手作りのマジパンも使いますので、かなり豪華!

2、バッテンバーグ・ケーキを手作りする際、
うまく作るコツがあったら教えてください。

Stacey:杏のジャムいっぱいを使うこと!
また、ジャムで組み立てるときに、2〜3回くらい
「組み立てるベストプラン」を練習すること^ ^
というのも、ジャム塗ってからは外せないので。
もう一つのコツは、棒を切るときにメジャーを使って、
まっすぐ切るように頑張りましょう。

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo


3、私のコラムに書いたのですが、バッテンバーグケーキは、
一般に「1884 年、ビクトリア女 王の孫娘と、
ドイツ、バッテンバーグ(バッテンベルク)家の
ルイス・アレクサンダー王子との
ウエディングを祝うために考えられた」
と言われていると思うのですが、
実際にはその証拠がない、という食文化の歴史研究家もいます。
ステイシーさんは、バッテンバーグケーキの本当の由来をご存知でしょうか
(ご存知でしたら教えてください!)。

Stacey:一般のイギリス人は1884年につながるストーリーも知らないと思いますよ^ ^
ちょっとだけ調べると、その結婚のお祝いの話に出会えて
「あ〜そうですか、なるほど」になると思います。
以前、イギリスのテレビ番組「GBBO(グレート・ブリチッシュ・ベイク・オフ)」で
そのエピソードを伝えていましたが、
本当の誕生の由来は他のお菓子の数多くと同じように、不明みたいですね。

下記にご紹介するサイトにあるように
湖水地方にお住まいのフードヒストリアンIvan Dayさんが、
数ヶ月をかけて非常に詳しく調べたらしいですが、
彼にしても(色々推察していますが)結論からいうとまだまだ不明。
ちなみに私はIvan Dayの大ファンです!

*Battenburg Cake – the Truth
*Battenburg Cake Revisited, or Neapolitan Roll Rediscovered
*Battenburg Cake History Again!

とにかく、1880-1890年代に、「バッテンバーグ」と呼ばれたケーキは
今のデザインではなくフルーツケーキだったり、
9つの四角が入ったり、ココナッツをまぶしたりするレシピなど
色々ありました。
現代のバッテンバーグの4つの四角はChurch Window Cake、
またはNeopolitan rollなどという名前でした。
(今でもNeopolitan ice creamはありますね、
層が入っているのが特徴。)

あ! いまMamiさんの記事を読んだら
Ivan Dayのことご存知ですね^ ^ さすがです!

次は、ステイシーさんとモンクレについてご質問させてください。
4、ステイシーさんは日本に住んで何年で、モンクレをオープンして何年ですか?

Stacey:日本に住んで16年、モンクレは今年の春で3周年を迎えました。

5、なぜ日本でイギリスのお菓子の教室を開こうと思ったのでしょうか。
また、モンクレオープンまでにどのくらいの準備期間がかかったか教えてください。

Stacey:軽く思いついてから、モンクレのオープンまでは約3年かかりました。
そのときに、私のように日本で開業したい外国人のために
‘A Little shop in Tokyo’というブログを書きました。
ブログアドレスはhttp://alittleshopintokyo.blogspot.jpです。
もう更新はしていないのですが、
今でも「このブログを読んで助かった!」などの
メッセージをもらうことがあります。

6、ステイシーさんはイギリス菓子の作り方を誰に習いましたか?

Stacey:イギリスのお菓子はホームベーキングですので、
家で小さい時から母に習ったり、また独学もして、
イギリスに住む他のみなさんと同じように習ってきました。

母は私が7歳くらいの時はschool dinner lady(*注1)になったので、
母が職場から家に持って帰ってきた
余った生地を使って、週末にアップルパイを作った思い出があります。

また、10代の時に「これ作りたい!」という私に
「キッチンをぐちゃぐちゃしないでね」と母が言ったのを覚えています(笑)。

イギリスの料理学校で教えるのは
たいていはフランス料理が基本になりますので、
料理学校で勉強したことのある方でも
イギリスの焼き菓子については独学が多いと思います。

7、ステイシーさんの一番好きなイギリス菓子は何ですか?
またその理由も教えてください。

Stacey:ブラムリーアップルパイがやっぱり一番。
本当に大好きなものが多くて、季節と気分によってどんどん変わりますが
ブラムリーアップルはとても懐かしいcomfortingの味です。
(りんごの酸味と、パイに添えるカスタードやアイスクリームが
美味しさのポイント!)

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo

「日本でもこのブラムリーの木を育てている!」と分かってから
モンクレを開業することができるぞ! と確信を持てました。
そういう意味でも、ブラムリーというりんごは
不思議な力(ご縁?)のあるフルーツです。。

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo

8、イギリス菓子の魅力をひとことで言うと何でしょうか?

Stacey:Comforting.
ほとんどのものは派手さや繊細さはないかもしれませんが、
とても美味しい。
プディングやトライフルなど、皆なで崩して分けるものも多く、
味もcomfortingだし、食べるシーンがcomforting。

9、イギリス菓子を紹介した本はたくさんありますが、
ステイシーさんが実際に利用している、
あるいはお気に入りのレシピ本を教えていただけますか。

Stacey:モンクレが小さなイギリス菓子の図書館になっていますので
チョイスが多いです。なかでも素晴らしい本と思っているのが
●Cakes Regional and Traditional – Julie Duff著:地方のレシピや、今ではちょっと珍しくなってしまったレシピがたくさん。よく使います!
●The Best of Eliza Acton – Elizabeth Ray著:ビートン夫人より尊敬すべしEliza Acton。(レシピより歴史を確認の時に使う。)
●Oxford companion to Food – Alan Davidson著: 本当になんでも入っていますし、詳しく調べてある。(この本も、レシピより歴史を確認の時に使う。)

10、「モーニングトン・クレセント」という名前をつけた理由を教えてください。

Stacey:Mornington Crescent (略称“モンクレ”)というイギリスらしい名は、ロンドンにある地下鉄駅と、その周辺の地域の名称です。
けれど、社名Mornington Crescentの由来は、
わたしが大好きなラジオ番組 (BBC Radio 4) に出てくる
面白いゲームの名前というのが本当のところかもしれません。

クレセントという名が付いている道はほとんどがU字型になっていて、
車が比較的少ない落ち着いた場所です。
近所の方々が仲良く温かいコミュニティを作っている場所、
そんな故郷イギリスにあるような親しみやすい空間を日本にも作りたい。
私たちはそのような思いを社名に込めました。

ちなみにMornington Crescentゲームを
ジョーダンでやってみたというイギリス人は今まで3名ですよ〜!
そのラジオ番組が好きな人なら、
きっとお友達になれると、いつも思っています。

11、モンクレで一番人気のイギリス菓子は何ですか?
また、なぜそれが人気か、理由をご存知でしたら教えてください。

Stacey:人気に波はありますが、
最近の投票でモンクレのミンスパイが一位になりました。
(時期が全然違うのでびっくりしました!
でも確かに、中身のミンスミートも手作り、
ブラムリーとモンクレで処理したスエット入りで
とても軽くて美味しい〜〜!)

去年の投票ではレモンドリズルが一位でした。

また、売れ行きの面でいうと、
スコーンは時期を問わず、いつも人気。
リピーターが多いのは、コーヒー&くるみのケーキ。
「びっくりするくらい美味しかった!」と最も言われたのが、
ジャムだけ(オーソドックス版)のビクトリア・スポンジとバッテンバーグ・ケーキ。

イギリス人のお客さんの間(特に男性)では、
バッテンバーグ・ケーキのファンが多いです。

12、イギリスにはどのくらいの頻度で帰っていますか?
またイギリスが恋しくなるのはどんな時ですか?

Stacey:だいたい年に1回は帰ります。
家族が集まるクリスマスになるのが多いですが、たまに夏に帰ると、
イギリスの皆さんが半袖でとても元気そうで楽しいですね。

最初、日本に来て、イギリスのもので一番欲しかったのが
BBC Radio 4でした。
World Service Radioで我慢できましたが^ ^、
インターネットでRadio4などが聴けるようになってからとても落ち着きました。

今は家族に会いときだけイギリスがちょっと恋しくなりますが、
わたしは帰れるときにイギリスに帰って、
またイギリスの家族の皆なが日本に来たりもしますので、ラッキーですね。

13、ステイシーさんはイギリス菓子の魅力を日本人に伝えてくださっていますが、逆に日本のお菓子でお気に入りのものはありますか?
あれば何が好きか教えてください。

Stacey:日本のお菓子、だ〜い好き!
特に上生菓子。白あんこ入りがいちばんの1位です!!

14、これからの目標、夢を教えてください。

Stacey:モンクレのチームをもう少し増やして、
チームと一緒に安定した楽しい毎日を続けること。

モンクレを始める前は「誰も来ないかも! 家賃払えるかしら?」という心配をしていましたが
今は「レッスンはすぐ満席で、
お菓子販売の日(オープンベーカリー)ではすぐ売り切れになるので、
自分とスタッフに無理のないように
かつ多くの皆様を喜ばせるにはどうすればいいか」というのが
今の嬉しい課題です。

また、これからは他の熱心な人や企業と楽しいコラボもやりたいし、
いつか本も出したいですね!

ステイシーさん、今日は素敵なお話をありがとうございました。

*注1:school dinner ladyとは、学校でランチタイムに子どもたちの世話をする人のことです。

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以上、ステイシーさんのインタビュー、いかがでしたか?

わざわざイギリスに来なくても
日本で、おいしいイギリス菓子を習ったり
買ったりできるなんて
うれしいですよね。

わたしも、今度日本に帰省したときには
ぜひステイシーさんからイギリス菓子を
習いたいです!

*モーニングトン・クレセント東京

住所:東京都港区東麻布 2-14-3 カサド並木101
ウェブサイト:http://mornington-crescent.co.jp
Facebook:facebook.com/MorningtonCrescentTokyo
Twitter:twitter.com/MonCre_Tokyo

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Photo:©️Mornington Crescent Tokyo

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